人は生きていくうえで、自分の気持ちや意見を主張する場面が沢山あります。
自分の気持ちや意見をはっきりと述べられる人、相手に遠慮してできない人はいても、相手の意見も聞きながら、上手く伝えられる人は意外と少ないのではないでしょうか?
伝える力にこだわれば主張が強すぎる人間に映りますし、反対に聞き手に回ってばかりでは意思が無い人とみなされてしまう場合があります。
そこでお勧めしたいのが、アサーションというコミュニケーション技法です。
アサーションとは「自分と相手を大切にする表現技法」を意味します。
ちなみにアサーション(assertion)は英和辞典で調べると「主張」「断言」などという意味が載っています。
このような言葉を聞くと「強く自己主張する技術」という印象を抱いてしまうかもしれませんが、相手に自分の意見を押し付けるのではなく、自分のことも、相手のことも大切にするというのがアサーションなのです。
アサーションはどんな場面でつかえる?
現在、アサーション研修が行われる現場としては、教育現場、企業研修などが多いと言えます。
教育現場では「いじめ」が問題となっているため、相手も自分尊重する意味でアサーションの研究が盛んです。
また、最近では企業でも活発に研修が行われています。
アサーションは特に、パワハラ、セクハラへの対処、職場内のメンタルヘルスや、高圧的な上司の態度の抑制などに非常に高い効果を発揮しています。
もちろん職場だけではなく、友人や親子、夫婦、恋人、ご近所付き合いなどの身近なところでも活かすことができる、普遍的なスキルであると言えます。
3つのタイプを知ろう
アサーショントレーニングの開発者の1人である、アメリカの心理学者ウォルピィは、自己表現のタイプには3つあると主張しています。
① 攻撃タイプ(アグレッシブタイプ)
このタイプは、相手よりも自分の意見を優先するドラえもんでいえばジャイアンのようなタイプです。自分の主張はハッキリと伝えるが、相手の気持ちを無視し、主張を押し付ける言動をします。このタイプは勝ち負けで物事を決めたり、相手より優位に立とうとします。そのため、自分勝手に行動し、巧妙に相手を操作しようとすることもあります。このタイプには「泣き落とし」をする人も含まれます。
②非主張タイプ(ノンアサーティブタイプ)
このタイプは、自分よりも相手を優先するドラえもんでいうとのび太君のようなタイプです。自分の気持ちや意見を表現しなかったり、しそこなったりするのがこのタイプです。また、自分の意見を口にしないだけではなく、曖昧な言い方や言い訳がましいのもこれにあてはまります。このタイプは「どうせ言ってもわかってもらえない」「自分はやっぱりだめだ」という気持ちになりがちです。そして、相手に対して「あなたの言う通りにしたのに相手は私をわかってくれない」といった恨みがましい気持ちが残りがちです。
③アサーティブタイプ
このタイプは、相手も自分もどちらも大切にするドラえもんでいうと、しずかちゃんのようなタイプです。自分の気持ちを正直に率直に、その場に相応しい表現方法ができるタイプです。そして、相手が同じように意見を話すことを人にも薦めることができます。また、その結果として意見がぶつかることがあることを知っています。そして、意見がぶつかったときは自分の意見を直ぐには折りません。お互いに意見を出し合っていき、そこで互いに譲ったり、譲られたりしながら双方にとって納得のいく結論を出そうとします。3つの中では一番理想的なタイプと言えます。
自分のタイプをチェックしてみよう
次の質問に当てはまる場合は〇、当てはまらない場合は×で答えて下さい。
A項目
1.人前で弱さをさらけ出すのが苦手である( )
2.人の悪いところを指摘することがよくある( )
3.自分の思い通りにならないとイライラしてしまう( )
4.他人のミスについ厳しくなってしまう( )
B項目
1.引っ込み思案なところがある( )
2.自分に自信がない( )
3.相手の意見に合わせて行動することがある( )
4.相手に認められたいと期待することがある( )
5.相手に反論されると言い返せなくなる( )
C項目
1.他人に正直な気持ちを打ち明けることができる( )
2.常に積極的に行動することができる( )
3.人が多い場でも自己主張ができる( )
4.苦手な人との会話も柔軟にこなせる( )
5.相手に非難されても自分を卑下せず、更に相手の意見も尊重できる( )
さて皆さんは〇がいくつありましたか?自分のコミュニケーションのタイプを知ることは、自己受容する上でも大切ですので、是非参考にしてみて下さい。
A項目の〇が一番多かった人→攻撃的タイプ
B項目の〇が一番多かった人→非主張的タイプ
C項目の〇が一番多かった人→アサーティブタイプ
今回のご紹介はここまでとなりますが、アサーションには重要な4つの柱があり、それを理解してコミュニケーションをとっていくことで、自分の意思を上手に伝えることができ、結果的に良い人間関係をつくることができます。
他にも「Iメッセージ」や「リフレーミング」などの技法を使うことでより良い印象を与えることができ、採用面接における面接官の心証を良くすることもできます。
My Pieceおだわらでは、アサーショントレーニングのほかにも、様々なコミュニケーションワークを通じて人との上手な関わり方を学ぶことができます。
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