日本における障がい者の雇用施策は、戦後の「職業安定法」や「職業訓練法」などの一般雇用施策に含まれて始まりました。
障がい者独自の雇用施策としては、昭和35年に制定された「身体障害者雇用促進法」を皮切りに、昭和51年にはすべての企業に法定雇用率が義務化され、昭和62年には身体障がい者のみであった実雇用率に知的障がい者の算出が可能となり、「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」に改正されました。
その後、知的障がい者の雇用の義務化がなされましたが、精神障がい者に対する施策は遅れを取る形となり、平成30年にようやく精神障がい者(発達障がい者含む)の雇用が義務化されました。
障害者雇用促進法では、障がい者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」実現の理念の下、すべての事業主には、法定雇用率以上の割合で障がい者を雇用することを義務づけています。
今回、2024年4月の障害者雇用促進法の改正によって、更なる障がい者の雇用の拡充、キャリア形成を含めた適正な雇用管理が一層図られることになりました。
まず、民間企業においては法定雇用率が2.5%に引き上げられることになり、対象事業主においては「従業員43.5人以上」から「従業員40人以上」に拡大することになり、2年後には更に「従業員37.5人以上」まで広がっていきます。
それに伴って、法定雇用率の算定対象となる労働者の条件も拡大することとなり、これまで週20時間未満での勤務は対象とされていませんでしたが、週20時間未満での勤務を希望する方が一定数いることや、症状の悪化等によって働けなくなった場合でも雇用を継続していく目的で、2024年4月から週10時間以上20時間未満で働く労働者(特定短時間労働者)も法定雇用率の算定対象とすることになりました。
この特定短時間労働者、精神障がい者や発達障がい者、重度の知的障がい者(障害者雇用促進法では療育手帳A判定の方)、身体障がい者(1、2級、または3級で2つ以上障がいが重複している方)が対象とされ、対象者1人につき0.5人として算定されることになりました。
これだけ見るとメリットしかないように思えてしまいますが、果たして実際はどうなのでしょうか?
例えば、国民の生活の安定を図るための制度に社会保険というものがあります。
広義の社会保険は、健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つの総称を指し、病気や怪我、労働災害、失業など、誰にでも起こり得るリスクが生じても、生活を維持できるようにするための制度になりますので、労働者にとって最も身近な保障と言えるでしょう。
そのため、就職の希望条件に社会保険の加入をあげられる方も多いかと思いますが、社会保険に加入するためには、「正社員の週および月の所定労働時間の3/4以上勤務」する必要があります。
これは分かりやすく言うと、週30時間以上働く必要があることになり、大手企業であれば週20時間でも加入できる場合もありますが、いずれにせよ短時間勤務を希望される場合は加入することができません。
また、障がい者従業員に対する職業能力の開発および向上に関する措置が追加されたことによって、キャリア形成がしやすくなった反面、企業から求められるスキルや業務量などに変化が生じることが考えられます。
特に精神障がい者や発達障がい者雇用義務化の歴史は非常に浅いため、まだまだ企業側へ正しい知識が浸透していない状況にあります。
そのため、配慮が受けられない、または徐々に配慮されなくなっていくといったケースがありますので、職業能力の開発における措置が追加されたことによって、更に負荷がかかってしまうといったデメリットが生じる可能性があります。
もちろん一般枠においても様々なメリット、デメリットがありますので、雇用の現状と自分の現状(体調やスキルなど)、自分の希望条件とのすり合わせをしっかりと行なっていかなければ、「就職が決まらない」「安定して働き続けることができない」といったリスクが生じてしまいます。
今回のブログはここまでとなりますが、My Pieceおだわらでは、就職活動や職場定着の専門資格である「訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)」をもつスタッフが多数在籍しており、一般枠、障がい者雇用枠におけるメリット、デメリットを勘案しながら、自分らしく働くための的確なサポートを受けることができます。
このほかにもどのようなサポートが受けられるかもっと知りたい、またはオフィスの雰囲気を見てみたいなど、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。
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