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  • 執筆者の写真芳栄 平澤

どんな遺伝子をもって生まれるかも含め、結局全てが「ガチャ」


行動遺伝学者で慶應大学文学部教授安藤寿康氏の『なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える』を紹介したい。

安藤先生は、教育カテゴリーでタブー視されていた「遺伝」について、双生児法を用い、どんな要素に遺伝的要因が強いかを30年以上にわたり研究している。

本書にもあるが、知能は50%が遺伝で、家庭環境をはじめとした共有環境とよばれるものが30%、学校の先生の影響など非共有環境が20%だという。ちなみに指紋の遺伝は97%らしい。


安藤先生によると「コツコツと努力する」とか「どんな友達を選ぶか」とかも遺伝によるところが大きいという。そう言われてしまうと、ここ最近よく耳にする「親ガチャ」を思い浮かべる人もいると思う。Youtubeにアップされていた安藤先生のインタビューでは、どんな遺伝子をもって生まれるかも含め、結局全てがガチャ(運)であるわけで、いろんな能力に対して個人差があることに目をそむけることの方が「知的に不誠実」でないかと、先生は私たちに問う。

本書は、学業成績の個人差は遺伝の影響が50%という現実の上で、教育とは何のためにあるのかを、何をどう学べば自分が自分たるのかのヒントを伝えてくれる本である。


教育が進化の過程で獲得されたとすれば、それはヒトの生存と繁殖に関わるストラテジーだということになります。つまり教育は人間を「よくする」ためではなく、それ以前に「生きるため」「生き延びるため」、そして「命をつなぐため」に生まれたということになります。(中略)ですから教育の本来の目的は、人格形成といった抽象的な目的や、自分だけのためなのではなく、他者のため、他者と共に生きるためにあるということになります。

『なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える』より引用



安藤先生のインタビューがYoutubeにアップされていて、これがまた楽しい!

ぜひご覧あれ。

「あなたはあなた自身になれる!遺伝の影響を踏まえた教育とは」






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